見積のAIは、卸・商社でどこまで使われているか


- トラスコ中山の見積の自動回答は、自動化率30.5%です(2025年12月末)。特別な取引条件は担当者が答えています。
- 米国の大手卸 Rexel USA は見積のAIを全地域に入れ、見積にかかる時間が28%減ったと話しています。
- どの例でも、AIが作るのは回答や下書きまでで、例外の条件と最後の承認は人が受け持っています。
国内の卸・商社は、見積にAIをどう使っていますか
数字つきの公開例は、機械工具のトラスコ中山の自動回答と、管材のイシグロの受注入力です。どちらも、条件の決まった所をAIに任せています。
トラスコ中山は見積への自動回答「即答名人」を2020年1月に始めました。2025年12月末で、見積の自動化率は30.5%、見積依頼のWeb化率は49.4%です。特別な取引条件のある見積は、担当者が答えています。
管材のイシグロは注文書を読むAIを受注入力に入れました(2026年8月、提供会社の発表)。100万点を超える商品から品番を探します。時間がどれだけ減ったかは公表されていません。
卸・商社のAIの公開例はほかに需要予測と発注(伊藤忠商事と日本アクセス、ヤマエ久野)や物流(PALTAC)に集まっています。見積と受注はまだ公開例が少ない分野です。
海外の卸では、何が変わりましたか
米国では電材の大手卸が見積のAIを全地域に入れ、見積の時間と、出せる見積の数が変わったと自ら話しています。

Rexel USA は仕様書や図面から部材表と見積を作る Parspec を全地域に入れました。利用者は1,000人を超え、見積は月7,500件を超えます。業界誌の取材に上級副社長が答えた数字では、見積にかかる時間が28%、提出図書の準備時間が52%減り、会社全体の入札の数は7.5%増えました。
形式を問わない注文を販売管理の行に直す Canals の顧客、Kirby Risk では、丸1日かかっていた100行を超える見積を20分で返した例があります。AIが作った見積や注文は、担当者が承認してから販売管理に入れます。
日本の卸・商社が写すなら、どこからですか
得意先ごとの言い方を品番に直す所からです。例外の条件と承認は、人に残します。
米国の電材卸は上位5社で売上の少なくとも46%を占めます。大手1社に入れば、数百の拠点に一度に広がります。日本は地域ごとの中堅の卸が多く、1社ずつ自社の注文で数字を出していく進め方になります。
どの例にも共通するのは、AIが作るのは回答や下書きまでで、特別な条件と最後の承認は人が受け持っていることです。まず、よく来る得意先の依頼を品番に直す所から試し、直した行と理由を残していきます。
今週できること
1自動で答えられる見積を数える
条件が決まっていて、誰が答えても同じになる見積が、全体の何割あるかを数えます。
2例外の条件を書き出す
特値、取り寄せ、数量による値引きなど、担当者が決めている条件を一覧にします。
31日かかる見積を1件選ぶ
行数の多い見積を1件選び、どこに時間がかかったかを工程ごとにメモします。
よくある質問
大手の例は、中堅の卸にも当てはまりますか。
仕組みは同じです。中堅の卸では1つの営業所や1人の担当者の見積から試すと、数字が早く出ます。
自動回答と見積の下書きは、何が違いますか。
自動回答は条件の決まった見積をそのまま返します。下書きは人が確かめる前提で、候補と根拠を付けて渡します。
米国の数字は、日本でも出ますか。
物差しが会社ごとに違うので、同じ数字が出るとは限りません。自社の依頼で、今の時間と比べて確かめます。
